長井まち歩き

最上川舟運の要衝としての長井の歴史は、元禄6(1693)年、米沢藩の御用商人だった西村久左衛門が最上川の難所・黒滝を開鑿したことに始まります。最上川では古くから舟運が行われ、江戸時代には北前船で知られる西廻航路が整備されたことにより最上川舟運はさらに繁栄していましたが、米沢までの水路はこの難所が舟運を妨げて開けていませんでした。それが黒滝の開鑿によって最上川舟運が長井の地まで可能となり、以降、経済活動が急激に発達し、長井は米沢藩内有数の商業都市へと発展していくことになります。今回は、山形鉄道フラワー長井線の長井駅を起点に、歴史的な建物が残る街並み、最上川舟運船の名残の地などを巡ります。

アクセス(山形鉄道フラワー長井線長井駅まで)月の池より車で約50分 南陽高畠ICより車で約30分
URLhttps://kankou-nagai.jp (やまがたアルカディア観光局/長井観光ポータル)

■小桜館(旧西置賜郡役所)

明治になると、長井には郡役所が置かれ、経済・行政の中心の役割を担うようになります。「小桜館」は、明治11(1878)年、初代山形県令三島通庸の命により建てられた旧西置賜郡役所。現存する県内の擬洋風建築の郡役所としては最古、全国でも2番目に古い建物です。白ペンキ塗りの木造一部2階建て、当時の日本では珍しい「上げ下げ窓」など、各所に洋風建築を模した技法が使われ、扇型の窓に嵌め込まれた色ガラス(ステンドグラス)もレトロで明治の面影を感じます。「小桜館」の名は、かつてこの地にあったとされる「小桜城」に由来し、平成16(2004)年の改修を機に、市民に公募したものだとか。現在は地域住民の文化活動の場としても活用されています。
【平成8(1996)年3月 長井市指有形文化財】

所在地山形県長井市高野町2-7-28
電話0238-88-9365
営業時間9:00~17:00 (活動・展覧会など開催時は21:00まで)
定休日月曜日・月末日(月曜日が祝日の場合は翌日)
料金無料
アクセス山形鉄道フラワー長井線長井駅より徒歩約15分
山形鉄道フラワー長井線あやめ公園駅より徒歩約6分
駐車場有・無料
URLhttps://bunkyounomori.jimdofree.com

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■丸大扇屋(旧長沼家)・長沼孝三彫塑館

「小桜館」のすぐ近くにあるのが、長井を代表する豪商で、呉服商を営んでいた「丸大扇屋」です。十日町の通りに面した店舗には大きな暖簾がかけられ、格子戸も美くしく情緒たっぷり。最上川舟運で栄えし時代の風情と貫禄を感じます。店蔵との間にある小間屋門を潜ると、奥には母屋や内蔵などが続き、長井の上級商家の典型的な造りが見られます。江戸・明治・大正時代の建物が同一敷地に並んでいるのも特徴の一つです。また、敷地内には「長沼孝三彫塑館」が併設され、同家の三男として生まれた彫刻家・長沼孝三の作品や、郷土玩具のコレクションを収蔵・展示しています。
【平成15(2003)年5月 山形県指有形文化財 丸大扇屋:店・店蔵・母屋・内蔵・座敷蔵・味噌蔵・新座敷】

所在地山形県長井市十日町1-11-7
電話0238-88-4151
営業時間10:00~17:00 (最終入場16:30)
定休日月曜日・月末日(月曜日が祝日の場合は翌日)、冬季(12月29日~3月31日)
料金丸大扇屋:無料
長沼孝三彫塑館:大人300円、高校生200円、小中学生100円
アクセス山形鉄道フラワー長井線長井駅より徒歩約15分
山形鉄道フラワー長井線あやめ公園駅より徒歩約6分
駐車場有・無料
URLhttps://bunkyounomori.jimdofree.com

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■長沼酒造(長沼合名会社)

「丸大扇屋」の斜向かいにある「長沼酒造」は大正5(1916)年創業の造り酒屋。通りから少し奥に見える、しめ縄がかかった杉玉が目印になります。古くからの商家で、もとは呉服商でしたが、10代目が酒造業を始めて今に至ります。超軟水の長井の水を使い、昔ながらの手仕事こだわって造られる酒は、淡麗ながらも深い旨味があると評判です。大正期に建てられた仕込み蔵の他、江戸・明治時代の母屋や蔵など貴重な歴史的建物が残されており、残念ながら内部の見学はできませんが、店舗の梁に結ばれた無数の縄に歴史の一旦を垣間見ることができます。これは火伏せのまじないで、毎年の最初の庚申の日に左巻きの縄を結ぶのだとか。正確に何本あるかはお店の方も数えたことがことがないそうですが、一説によれば300本近くもあるらしいとのこと。
【平成20(2008)年5月 国指定登録有形文化財(建造物) 店舗兼母屋/前蔵/新蔵/仕込蔵/中蔵/内蔵】

所在地山形県長井市十日町一丁目1-39
電話0238-88-2007
営業時間営業時間9:00~18:00
アクセス山形鉄道フラワー長井線長井駅より徒歩約15分
山形鉄道フラワー長井線あやめ公園駅より徒歩約6分
駐車場
URLhttps://www.soumura.com
主な銘柄「惣邑「小桜」「惣右衛門」

酒蔵の見学は不可

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■桑島記念館・旧小池医院・木蓮川

目抜き通りのひとつ「本町通り」では、長井のお医者様が建てた素敵な洋館が見られます。「桑原記念館」は、昭和2(1927)年に桑島眼科医院として建てられました。石造りに似せた人造石洗出しの外壁や屋根窓が特徴的な木造の総2階建て擬洋風建築。平成7(1995)年に桑島眼科医院の改築工事に伴い取り壊しの予定でしたが、市民の活動によって保存が決まり、曳き屋によって現在の場所に移築されました。現在はイベントなどに利用されているとのこと。ここから100mほどのところにあるのが「旧小池医院」。昭和6(1931)年に建てられた木造2階建の産婦人科医院です。2階部分は木組みが美しいハーフティンバー、屋根の上の八角形の望楼が目を引きます。内部の見学はできませんが、モダンでお洒落。「旧小池医院」の向かいにはお地蔵様を祀った「十王堂」。その脇の小径をまっすぐ進むと、まちなかを流れる用水路のひとつ「木蓮川」に突き当たります。長井のまちなかには、中小の水路が網の目のように走り、昭和30年代までは家の中に水を引いて生活用水としていたとか。いまもなお清らかな「木蓮川」の流れには、7~8月に可愛らしい花をつける梅花藻がゆらぎます。
【平成8(1996)年4月 長井市指定有形文化財 桑島記念館(旧桑島眼科医院)】

◎桑島記念館(旧桑島眼科医院)

所在地山形県長井市本町1-8-12
電話0238-87-0827(長井市商工観光課)
アクセス山形鉄道フラワー長井線長井駅より徒歩約6分

◎旧小池医院

所在地山形県長井市本町2-5-1
アクセス山形鉄道フラワー長井線長井駅より徒歩約6分

◎木蓮川

所在地山形県長井市本町・片田町界隈
アクセス山形鉄道フラワー長井線長井駅より徒歩約8分
問合せ0238-88-1831(やまがたアルカディア観光局)
URLhttps://kankou-nagai.jp (やまがたアルカディア観光局/長井観光ポータル)

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■やまいち松龍園・山一醤油店・あら町通り界隈

「あら町通り」は、江戸時代の商家の面影が残る風情のある一角です。「本町通り商店街」を道沿いに南に進むと、最初に出会うのが「やませ蔵美術館」。最上川舟運で栄えた紬問屋の敷地の一部を解放し、数々の蔵や水路、庭園など見所が多かった…のですが、残念ながら令和になって閉館、長期休業とのこと。それでも外塀を含む佇まいには雰囲があります。通りを挟んで向かい側にあるのが「やまいち松龍園」。明治40(1907)年創業の老舗のお茶屋さんです。もとは質屋を営んでおり、風格のある店舗は明治36(1903)年築。堂々たる金看板は昭和35年に静岡の製茶問屋から寄贈されたものだとか。店内では茶葉の量り売りの他、お好みで自分だけのブレンドも可能です。さらに道なりに進んですぐの斜向かいには「山一醤油店」があります。創業は寛政元年(1789)。昔ながらの天然醸造の味噌・醤油の味を守っています。特に江戸時代から一族だけに製法が伝わってきた秘伝の伝統食品「あけがらし」は絶品。ご飯のお供や万能調味料として、知る人ぞ知るグルメ御用達です。また、伝統的な町屋形式の店舗や、現役で使われている仕込み場と醤油蔵は文化財としても貴重です。
【平成23(2011)年1月 国指定登録有形文化財 山一醤油店:店蔵・仕込み場・醤油蔵】

◎やまいち松龍園

所在地山形県長井市あら町園7-15
電話0238-88-2216
営業時間9:00~19:00
定休日無休

◎山一醤油店

所在地山形県長井市あら町6-57
電話0238-88-2068
営業時間9:00~18:00
定休日第2・4土曜日 日曜日 土曜日
URLhttp://akegarashi.jp/

※見学要希望の際は要希望事前連絡(時期により見学不可の場合あり)

◎あら町通り

所在地山形県長井市あら町
電話0238-87-0827(長井市商工観光課)
アクセス山形鉄道フラワー長井線長井駅より徒歩約12分
山形鉄道フラワー長井線南長井駅より徒歩約8分
URLhttps://kankou-nagai.jp (やまがたアルカディア観光局/長井観光ポータル)

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■道の駅「川のみなと長井」・宮舟着場跡

商店街から少し足を伸ばし、最上川近くの道の駅「川のみなと長井」へ。最上川舟運で栄えた「川のみなと」をイメージしており、長井の特産品や情報が一堂に。道の駅には珍しく、まちなかにあることも特徴のひとつで、市民と観光客の交流の場にもなっています。日本一の生産量を誇る競技用けん玉や長井紬、新鮮な野菜果物や加工品などのお土産品だけでなく、ご当地グルメが味わえるフードコートも充実。「川のみなと長井」の裏手にある最上川の堤防を少し歩くと「宮舟着場跡」があります。西村久左衛門が2年3ヶ月の歳月をかけて黒滝を開墾し、最上川船運の左沢から長井までの舟路を開いた際におかれた船着場です。藩の陣屋や蔵などが建てられ、物資交流の拠点として米沢藩の表玄関の役割を担っていました。今は跡地の看板とベンチが置かれているのみですが、川辺まで降りることができ、散策コースとしてもおすすめです。

◎道の駅 川のみなと長井

所在地山形県長井市東町2番50号
電話0238-87-1121
営業時間9:00~18:00 ※1月・2月は9:00~16:00(WCは24H開放)
定休日無休
アクセス山形鉄道フラワー長井線長井駅より徒歩約10分
駐車場120台(小型109台、大型7台、身障者用4台)・無料
URLhttp://kawanominato.jp

◎宮舟着場跡

所在地長井市舟場東
電話0238-88-1831(やまがたアルカディア観光局)
アクセス山形鉄道フラワー長井線長井駅より徒歩約15分(1.7km)
駐車場最寄の最上川緑地公園の駐車場(無料)を利用
URLhttps://yamagatakanko.com/attractions/detail_11182.html(山形県公式観光サイト)

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■白つつじ公園(松ヶ池公園)

「川のみなと長井」から歩いて10分ほどのところにある「白つつじ公園」は長井の花の名所のひとつ。正式名称は「松ヶ池公園」。明治期から整備されてきた6haの園内には、池や噴水、滝やせせらぎ、様々な樹木が配され、四季折々に楽しめる憩いの場になっています。植樹されている3000株のつつじは全てが白色で、その中の「七兵衛つつじ」と呼ばれる古木群は樹齢750年とも言われます。つつじが満開となる5月頃には「白つつじ公園」の名の通り、公園一面が白一色に輝く別世界になるとか。また、隣接する「皇大神社」は天照皇大神をお祀りする伊勢神宮ゆかりの神社。例祭で奉納される「小出の獅子」は、長井市の無形民俗文化財に指定されています。
【平成6(1994)年2月 長井市指定天然記念物 七兵衛つつじ(白つつじの古木群)】

所在地長井市神明町3-38
電話0238-88-1831(やまがたアルカディア観光局)
入園料無料開放
アクセスフラワー長井線長井駅より徒歩約15分
駐車場有り・無料
URLhttps://kankou-nagai.jp (やまがたアルカディア観光局/長井観光ポータル)

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■ヤマキ馬肉ラーメン

長井には戦前より馬肉文化が根付いており、馬肉チャーシューを使った「馬肉ラーメン」は、ご当地のソウルフードとも言える名物なのだとか。国道113号線沿いにある「ヤマキ馬肉ラーメン」も地元で愛されているお店のひとつ。大きな左馬の文字が入った看板が目印で、もちろん全てのメニューに馬肉が使われています。今回オーダーしたのは「馬肉醤油ラーメン(550円)」。サービスで出されるゆで卵は、待つ間に食べるも、ラーメンにトッピングするもよしです。馬肉のチャーシューは味付けも歯ごたえもしっかりめ。変なクセもなく食べやすく、醤油の効いたスープと縮れ麺が良く合います。品書きには味噌ラーメン(700円)やチャーシューメン(650円)などの他、夏季限定の「冷やしラーメン(650円)」もありました。見た目は普通のラーメンなのにスープも麺も冷たい冷やしラーメンは、山形独特のラーメン文化でもあります。

所在地山形県東置賜郡川西町大字西大塚2308-6
電話0238-42-6617
営業時間10:00頃~17:30頃(スープが無くなり次第閉店)
定休日不定休
アクセスフラワー長井線西大塚駅より徒歩約7分
フラワー長井線長井駅より車で約12分 南陽高畠ICより車で約10分
駐車場有り

※営業時間・定休日は事前に要確認

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